約1万年前の壁画に蜂蜜の採取と思われる絵があり、人は有史以前から蜂蜜や果物などの甘味を求めていた。また、身体維持に欠かせない塩分は、その必要性から塩味といったおいしさとして認識されていた。様々な穀物を粉にし、それを練って火にかけるという初歩的な調理が行われるようになってからは、食物に対して栄養を求めるだけでなく、甘味や塩味をより楽しむ事が求められるようになり、そういった味覚への追求が菓子を創造する原動力になったとも考えられている。 農耕や牧畜が発展し、原種の小麦が現代品種に至って以降、文明の発達と共に菓子が作られはじめた。紀元前22世紀頃の古代メソポタミアの新シュメール時代、マリ王朝の宮殿跡から「うずくまるライオン」の菓子型が出土している。「楔形文字」の解読研究によるとマリ王朝には「メルスの製造者」という職業があり、「メルス」は練った生地にナツメヤシやピスタチオ、干しイチジクや干しブドウ、蜂蜜や各種の香辛料を混ぜ込んで焼き上げたものだとされている事が解り、これが現代の焼き菓子につながるものだとも考えられている。